TKBrewing-元富士通システムエンジニアへのインタビュー

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TKBrewing Logo高林亮一さんがTKBrewingを設立に取りかかったのは、2017年初めでした。醸造ライセンスを取得するまでに10ヶ月。高林さんの奥様は山のような書類作業に翻弄される日々を送りました。そして、お店をオープンさせるまでに、さらに2ヶ月。しかし300Lの醸造タンクが稼働し始めると、高林さんはビール醸造に全力を注ぎ、彼のビールはオープンしたその月に川崎エリアで大ヒットを収めました。高林さんはクラフトビールに情熱を注いでいて、彼が富士通でシステムエンジニアとして働いていたとき、醸造所をオープンするずっと前から、川崎エリアにあるクラフトビール関連施設の多くのマネージャーと知り合いでした。高林さんと奥様の力で、TKBrewingは川崎で誰もが知っている名前になりました。TKBrewing

インタビュー

タイヘイ: 富士通を退職して、ブリュワリーをオープンすることにしたきっかけを教えてください。

高林さん: システムエンジニアは技術の変化が激しいものです。若い頃に培ってきた技術が不要の長物になるのに時間はかかりません。IT領域の知識や技術を常にアップデートする必要がありますが、20年以上システムエンジニアをやってきた結果、IT領域の技術に興味を失ってしまったのかも知れません。一方でビール醸造に関する知識欲は際限がありませんでした。富士通での仕事としてはマネージメン領域にシフトする選択肢もあったかも知れませんが、結局、現場が好きだったってことです。このキャリアチェンジは必然の結果だと思います。

タイヘイ:その決断に、奥様、会社の同僚、上司は何と言いましたか。

高林さん: 妻は「富士通という大きな会社に守られて仕事してきたあなたに世の中は甘くないのよ。やれるもんならやってみな」みたいな感じでした。

同僚、上司には特にフィードバックを受けませんでした。

タイヘイ: 川崎を選んだ理由を教えてください。

高林さん: 武蔵小杉近辺にに住んでいるので、当初は武蔵小杉で物件を探していました。小杉人気もあり、リーズナブルな物件が見つかりませんでした。そんな時にマッキャンズのお客さんで、川崎でブルワリーをやりたい人を探しているとの情報があり、それがご縁で川崎で立ち上げることとなりました。

タイヘイ: なるほど。ところで、高林さんのブリュワリーがあるこの建物はどのような建物ですか。

高林さん: 築50年以上の建物でリノベーション物件です。「発酵してる?」がスローガンで、様々なバックグラウンドの方々が日々行き交う刺激的な場所です。

タイヘイ: 高林さんは独自のグリコールシステムを作り出しましたが、それにはエンジニアとしての過去の経験が活きているのでしょうか。システムの設計から完全に稼働するまでどのくらい時間がかかりましたか。

高林さん: ファーメンターの温度制御装置とマッシングの温度制御装置を手作りしました。ファーメンターの方は冷水をオン/オフ制御しているだけなのでそれほど難しくはありません。マッシングの方はやや難しいですかね。醸造免許が下りるまでの待ち時間が結構あったので、マッタリ製作していました。ランプを付けたり、安全回路を追加したり、凝り過ぎてしまったところもあります。それぞれ1ヶ月くらいで仕上げました。

富士通時代はソフトウェアエンジニアだったので、直接的にその経験が活かされたとは言えないかも知れません。ロジカルな考え方は少し役立ったかも知れません。中学生時代に楽しみでやっていた電子工作的なこと(半田付け、回路の組み立てなど)は役立ったと思います。あの頃流行っていました。

タイヘイ: 販売用に醸造を始めてから、何か予想外のことはありましたか。

高林さん: 初期の頃にメタリックなオフフレーバーに悩まされました。試行錯誤の結果、最近は問題なくなりました。水が原因だったようです。

タイヘイ: 川崎エリアのクラフトビール好きやクラフトビール・バーのマネージャーには、高林さんのファンが非常に多いです。それが理由で、高林さんのビールは川崎以外ではあまり見られないのでしょうか。

高林さん: 川崎エリアのビアバーには大変お世話になっています。たまには川崎以外にも出荷していますよ。

現状の設備では製造量の限界があり、結果として川崎界隈中心の展開となっています。知名度を少しでも上げるためには、広く展開したいのですが、その辺りは今後の課題です。

タイヘイ: 先日、私たちは、クラフトビール・バーの人気店10店を”はしご”しました。そのうち2店舗は川崎のお店でした。川崎エリアの人々はクラフトビール好きだと思いますか。

高林さん: 川崎エリアでビアバーが増えてきたことは嬉しいことです。川崎に住んでいる人とクラフトビールの相関性はなんとも言えませんが、東京と横浜の間に位置し、どちらからもアクセスが良いことは川崎の強みであると思います。

タイヘイ: 富士通はスーパーコンピューター「京」(2018年に計算速度世界ランキング18位)の後継機に着手しました。そこで、仮に、富士通のシステムエンジニア、ソフトウエア開発者、上位階級のマネージャーの皆さんが高林さんのブリュワリーを訪れて、ビールを注文するとします。(高林さんがこれまでに醸造したすべてのビールがタップに揃っているとして)彼らはどのビールを選ぶと思いますか。なぜそう思うのか、理由も教えてください。

高林さん: 富士通で働いていた時の同僚、上位マネージャー、エンジニアでクラフトビールが好きな方はほぼ居なかったと記憶しています。多分「一番普通なビールをください」と言う気がします。そして私は、SMaSH Saisonをお勧めします。

タイヘイ: 私たちは神奈川のブリュワリー向けに、東京か四国でタップテイクオーバーによるコンテストを計画中です。もし参加されるとしたら、どのようなビールをこのコンテストに出品していただけますか。

高林さん: ほぼ無名のブルワリーとしては爪痕を残したいので、インパクトのあるビールを出品したいですね。インパクトがあってよく醸造するビールとしてはDopeness IPAあたりですかね。

タイヘイ:ビールの名前はどなたが考えているのですか。例えば、ほんの2,3挙げただけでも、「>Behind the Cloud Survivor」や「俺のSorachi」、「Black Star Ale」などがありますが。

高林さん: 初期の頃は特に名前をつけるのに苦労しました。命名に困ったときには、樽詰めして、タップに繋げて、試飲して、一晩寝ることにしています。そうすると、天から名称が降って来ることがあります。

タイヘイ: 「Black Star Ale」と言えば、「今飲むべき最高のクラフトビール100」という本に掲載されました。面白いのは、「Black Star Ale」はスタウトですが、川崎のクラフトビール事業者の方々にお会いしてみると、その大多数がスタウトとポーターを売るのは難しいと仰っていました。高林さんさんのお店のお客さんもスタウトとポーターについては同じような味覚ですか。

高林さん: 黒いビールは確かに回転が悪いような気がします。好き嫌いがはっきりしているからでしょうか。TKBrewingでも黒いビールを醸造する頻度はそれほど高くはありません。Black Star Aleは2月のバレンタインデーに向けて毎年醸造するペースですが、それ以外は、気が向いたときに造っています。

タイヘイ: 最後の質問です。TKBrewingの次のステップを教えてください。TKBrewingが高林さんと奥様の第二の人生となりますか。

高林さん: TKBrewingでは醸造量の限界が近づいてきているのが現状です。次のステップに向けてはいくつかの選択肢がありますが、焦らず、地に足をつけて、じっくり考えていきたいと思っています。

購入情報

ブリュワリー TKBrewing
地図 〒210-0024 神奈川県川崎市川崎区日進町3-4
連絡先 Ryoichi Takabayashi
メール r.takabayashi@tkbrewing.com
ホームページ http://tkbrewing.com/
Facebook https://www.facebook.com/TKBrewing.jp
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