アウトサイダー・ブルーイング:起業家へのインタビュー

タイヘイは、アウトサイダー・ブルーイング(Outsider Brewing)の立案者マーク・メイジャーさんに、様々なビールイベントで、何回かあったことがありました。一般的にオーストラリア人は穏やかな口調の印象がありましたが、彼はそれ以上に非常に柔らかいトーンで話す人物でした。まーくさんは、とても物静かで遠慮がちですが、事業拡大とブランド成長への意欲は、物静かでも遠慮がちでもありません。彼は、甲府でユニークなビジネスをスタートさせ、江戸っ子をHops and Herbsやアウトサイダー・ブルーイングに呼び込んでいます。アウトサイダー・ブルーイングは現在7年目(2012年2月創設)。マークさんは現在、甲府でメキシコ料理のお店(Baja and Mezcal)を経営しています。彼の挑戦の地は、現在は甲府です。タイヘイは、マークさんから聞きたいことが山のようにあり、また、新醸造家についてもいろいろとお話を聞きたいと思っていました。Outsider Brewing Logo

私は1990年にアフリカに行く途中に日本に立ち寄った…。そして未だアフリカへは行ってはいない。
-マーク・メイジャー

インタビュー (敬称略)

タイヘイ:どうして甲府に人が集まるのでしょうか。ポケモンを集めるため?観光?それとも、ただマークさんに会いに来るためでしょうか。

マーク:人々が甲府を訪れる理由は様々です。富士山とその周辺地域は一番の自然の魅力がありますが、その他にも甲府は果物やアクセサリー、ワインで有名です。東京から1時間半なので、ちょうど日帰りできます。山梨には現在、7つのビール醸造所がありますが、甲府には私たちの醸造所しかありません。

タイヘイ:最初に手掛けたのはThe Legend’s barでした。閉めなければならかなったのは何故ですか。何がそんなにレジェンドでなかったのですか。

マーク:Legend’sは良かったですよ。ちょっとグランジなバーでした。何もないところから始めて、ビジネスというより趣味に近かったので、友達が仕事の後に飲みに来るには最高の場所でした。大家さんと上手くいかなくなり、他の場所を探すことになったんです。

タイヘイ:それでThe Legend’s Barを閉めて、The Vaultを始めたんですね。2回目の挑戦を成功させるために、最初の経験から何を得ましたか。

マーク:オーストラリアで、ずっとバーやホテルで働いていたので、Legend’s Barで特に何か大きな経験をしたということはありませんでした。一番の教訓となったことは、絶対に二度とパートナーを持たないということでした。うまくやっている人たちもたくさんいますが、働くことへの考え方が違っていたら、すぐにその関係は壊れてしまいます。また、結婚をしたので、趣味ではなくビジネスとして本格的に始めました。

タイヘイ:いつか、東京地方にアウトサイダー・ブルーイングのタップルームを開く計画はありますか。

マーク:東京やその他の大都市は今のところ夢ですね。私たちは今は自分たちの醸造所で手一杯です。なかには、他のバーへの販売を止めて、自分たちのバーを持つべきだという人もいます。しかし今私たちが降ろしているバーは7年越しのお客さんたちで、クラフトビールの世界で私たちのブランドが知られるようになったのも、彼らのおかげです。いつかは、自分たちのバーを持つかもしれませんが、この先数年はまだありませんね。

タイヘイ:もしドラえもんのタイムマシンを使えるとしたら、アウトサイダー・ブルーイングをスタートさせるのに、何を変えたいですか。

マーク:もっと資金を借りて、大きな醸造所を購入して、大きなビルを借りて、もっとたくさん研究をして、たくさんあり過ぎて全部はできませんね。Hops and Herbsを改修したとき、何もプランがありませんでした。ただ、工事施工者に私の希望を伝えただけでした。ある日改修工事中のお店を確認に訪れたとき、私は「あの壁はどこにいったの?」と聞きました。そうしたら、工事施工者は「取り壊したよ」と。それは私たちが必要としていた壁で、もう一度作り直さなければなりませんでした。

タイヘイ:「アウトサイダー」とは、山ほどのお役所の手続きとペーパーワークが必要な醸造所を始める外国人という意味ですか。

マーク:そうです。みんなは、外人は悪い言葉ではなく、ただ日本出身ではないという意味だと言っています。でも、私がアウトサイダーを提案したとき、そう言っていた人たちの多くが、アウトサイダーは日本では悪い意味が含まれていると言ってきました。基本的には、その議論は決着しましたが。

タイヘイ:AC/DCはHops and Herbsでどのくらいの頻度で演奏していますか。オーストラリア人にとってはセンシティブだと思いますが。

マーク:Hops and Herbsは、たぶんそれほど多くはありません。というのも、そこにはマネージャーがいるので。The Vaultでは、結構演奏していました。でも現在は、私は、いくつかのバーの中の1つのマネージャーというよりは、どこにでも現れる何でも屋みたいなものです。そのため、昔よりはずいぶん減りました。

タイヘイ:The Legend’s barの開店から、ビールスタイルやAC/DCの歌を使った新たなビジネスまで、マークさんのキャリアを書きだすと、それぞれの段階にどのようなビール(歌)が思い浮かびますか。

マーク:とても難しいですね。私が言える唯一のことは、私は、私ではなく、ボンからブライアンに変わろうとしています。でなければ、ビジネスは失敗するでしょう。できれば、この変更が上手くいけば、AC/DCと同じくらいの成功を手に入れることができるでしょう。

タイヘイ:直近の事業について、この地域にBaja MexicanレストランとMezcal Tequilaカクテルバーを開店したのは何故ですか。

マーク:外国人のバーオーナーとなると、多くの海外駐在員や旅行者と話す機会が増えます。ほとんどの北米の人たちは、母国を離れて一番恋しくなるのはメキシコ料理であり、甲府にはメキシコ料理のお店がありませんでした。メキシコ料理を食べに東京まで行く人たちをたくさん知っています。何か新しいことをしたいと思い、甲府を素晴らしい場所にすることを考えていました。

タイヘイ:昨年(2018年1月)のジャパン・ブルワーズ・カップの2日目に、タイヘイのメンバーが少し酔っていました。どうしてマークさんのブースを宣伝する手助けをさせてくれたんですか。

マーク:そういうものですよ。皆さんは醸造所を助けたい、宣伝したいと純粋に思っているように見えました。そして常にフレンドリーで礼儀正しい。それほど酔ってはいませんでしたよ。私たちのビールを、私たちのブースから離れたところでも紹介してくれていました。私は思ったことを言うので、一緒に働くのは難しいという、ちょっと悪い評判が私にはあります。それが、私の頭を過ぎ、またここでも同じようなことがありました。しかし、誰であっても、私は人とうまく付き合っていきたいと思っている相手には失礼でもないし、強引でもありません。害はありませんから、大丈夫ですよ。あなたたちは、クールですね。

タイヘイ:私は、マークさんの自由奔放な感情表現が好きです。

マーク:それも私の評判の一部ですね。サービス業界には向いてないんですよ。私は、隠し立てができないので。

タイヘイ:ビールフェスタに関しては、どのような開催地が好きですか。

マーク:屋外でのフェスティバルが大好きです。オーストラリアでは、ビールを飲むときの私のお気に入りはバーベキューです。また、秋のケヤキよりも春のケヤキの方が好きです。と言っても、大さん橋はとても素晴らしい場所です。木と春の花、窓から見える海。そこと、京都が恐らく私のお気に入り開催地です。

タイヘイ:ご自身が醸造しているビールのなかでお気に入りはどれですか。または、ご自身のビールでは絶対酔いませんか。

マーク:お気に入りは、ザ・カウンティーズ・ペール・エール、ガンスリンガーIPA、ザ・ダーク・サイド・インぺリアル・スタウトです。最近、醸造家が変わったばかりなので、今後、お気に入りのビールが変わる可能性があります。カウンティーズとガンスリンガー、サンライズ・ラガーは良好です。ドランク・マンクは、天然酵母を使っており、手は加えていません。その他は、腰を下ろして、テイスティングをして、他のビールをどのようにすべきか話し合います。他のビールを少し変えるかもしれません。それは、私が好きなダークサイドと同じで、ライトビール8%のインペリアルスタウトです。私はもっと深みを出して、良好なものになると考えています。それで意見が一致すると思っていますが、私以外の話し合いのメンバー全員が、今のままで十分であるという意見であれば、そのまま変更はしません。他には、ペールやIPAを、ダークやブラックビールの後に飲んでいます。現在はスタウトやポーターも飲んでいますが、フルーツビールやサワービールも楽しんでいます。日本では私が好きなビールはほとんどありません。それが、私たちの1つの方向性でもあります。

タイヘイ:ビール醸造所の年間の最低生産量を規制した新しい法律が、今年から施行されます。どのようにお考えですか。

マーク:私が理解している限り、何も私たちに影響はありません。発泡酒の醸造免許を取得しているので、私たちが醸造しなければならない年間の生産量は6,000リットルです。基本的に、60,000リットル生産しており、ビール醸造免許並みなので、私たちは法律に準拠しています。発泡酒を徐々に減らし、有限会社のように維持させようとしているかのようです。

また、ビールで使用できる材料が拡大されました。それは私たちに影響があるかもしれません。現時点で、既にそのような材料を使っているので、私たちはビール醸造できると言われています。間違っているかもしれませんので、もし何がご存知でしたら、教えてください。

タイヘイ:基準を満たせない醸造所は、今後どうなると思いますか。

マーク:日本はとても流行に敏感な国です。すべてが一時的な流行りです。とても多くの新しい醸造所やビアバーが一気に出現しました。そして、そのうちの多くは、粗悪な商品を提供しています。1、2年後には崩壊すると思います。顧客基盤は拡大していますが、醸造所やバーの拡大ペース程ではありません。そのため現在は、顧客を取り合っている状況です。崩壊したら、弱者は消え、強者が生き残り、日本のクラフトビール業界は、かえって良くなるでしょう。クラフトビール好きの人たちは変わりません。その排他的プロセスにより、よりおいしいビールと有力な企業が生まれます。大企業の動きには注目しなければなりません。今、彼らが市場に売り出している新商品はすべて名前にクロフトやマスターがついています。これはどの方向に行くべきかを大企業はわかっているためです。良好で風味豊かなビールを作りながら、経理担当者や株主を満足させるのは難しく、これこそがクラフトのようなビールの大半が粗悪なものになる要因です。

タイヘイ:低価格の設備を使用していると思いますが、今後、より大きなシステムにアップグレードする計画はありますか。

マーク:あいにく、現在の私たちの醸造所に新しい「中古」設備を置くスペースはありません。今後2,3年のうちに、新しい、より大きな醸造所を甲府のどこかに開設する計画はあります。現在の醸造所は、そのまま維持する予定です。新しい醸造所の場所は甲府を予定していますが、市内ではありません。お話したように、パートナーと組むことは二度としませんが、自分ですべてをやるということは、あらゆることに時間がかかるということです。この点と今後の計画を考慮して、私たちは12月に投資家向けの宣伝を始めました。総額100万ドルを目標としています。反応は私が期待していた以上でした。現在、目標の10%近くまで来ています。来月には、さらに20%分が確約されています。この記事を読んでいる方で投資に興味がある方は、諸条件について私に連絡してください(thevault@live.com.au)。今年の後半には、今度は総額100万ドルのクラウドファンディングによるキャンペーンを始める計画です。私は、とてもアナログな人間なので、あまりクラウドファンディングについては詳しくありませんが、きちんとした方法で人々の注目を集められれば、軌道に乗せることができると聞きました。確かに、これは私の会社ですが、私が行っていることの大半は、私が最初にここに来た時の甲府を取り戻すためです。食べたり、飲んだり、お祭り気分を味わいに市内に人々を戻すことです。しかし、そのためには、場所やネームバリューが必要であり、それを私たちが今やろうとしています。私たちの目標と両方を達成することができれば、必要な投資の半分未満で澄みますが、大きな助けとなり、何年にもわたって、全てのことを加速させることができます。

タイヘイ:醸造所のオーナーになるという考えは、どこから来たのですか。

マーク:数年間、The Vaultを経営していましたが、どこか空回りしている感じでした。バーは順調でしたが、私たちには子供が3人いて、個人事業なので年金のようなものはありません。何か新しいことをしたいと思っていました。ビール好きの常連さんから、発泡酒の免許は、割と簡単に取れると聞きました。それを調べてみようと思い、何を具体的にするかを理解する前に、500万円で500リットルの醸造設備を購入していました。もう後戻りはできませんでした。

タイヘイ:アウトサイダー・ブルーイングの前は何をされていたのですか。

マーク:オーストラリアでは、19歳の時からバーやホテルで働いていました。日本では、英語教師でした。一度日本を出ましたが、出来る限り早く教える仕事から脱出しようと思って戻ってきました。

タイヘイ:母国のクラフトビール事情は、いかがですか。日本で醸造所を所有しているとお友達に話したとき、何か言っていましたか。

マーク:オーストラリアのクラフトビール業界は、良好です。オーストラリアには大規模な自家醸造文化はありませんでした。最初の小規模醸造は、大企業のビールにちょっと毛が生えたくらいの物でした。ペールエールでしたが非常に「ペールな」エールでした。今では、毎年オーストラリアに帰っていますが、2年前に帰ったときは全てが進んだようでした。ビールは非常に風味豊かで、まったく悪くはありませんでした。私が好きな醸造所は、メルボルンのBoatrockerMoon Dog、ブリスベンのGreen Beaconの3つです。また、パイオニアの1つであるGrand Ridgeを応援しています。私が子供の頃、Coopersはおじいさんのビールだと笑われていましたが、オーストラリアの自家醸造家が最初にビールを作るときは、Coppersのキットを使っていました。現在では、オーストラリアのクラフトビールのフラッグシップであり、昔から家族経営で続けています。また、Coopersは日本への麦芽の輸入を始めようとしているところです。私たちは、オーストラリアから輸入したホップを定期的に使えるようになるのを期待しています。ちなみに、オーストラリアでは、「悪くない」は、非常に良いという意味です。

タイヘイ:丹羽さんを引っ張ってくるのに、どのようなトリックを使ったのですか。新しい醸造家にも同じようなトリックを使ったのですか。

マーク:醸造所を開設しようと決めた時、醸造家を募集しました。それに丹羽さんが問い合わせてくれたのです。当時、丹羽さんがどのような人物なのかまったく知りませんでした。どうして私たちと一緒に働きたいのかも、本当にわかりませんでした。彼は、新しい醸造所で働くことは、全てが新鮮で非常に魅力的だと言っていました。私たちの新しい醸造家については、彼は有能で採用可能な状態であると聞いたので、探りを入れたら、彼が興味を示してくれたのです。モモちゃんについてもお話させてください。モモちゃんは丹羽さんの下で働いて4年になり、芽が出て花が咲き始めたころです。阿久沢さんは、静岡で生活したいと希望しているので、2,3年の間、醸造長として来てくれる予定です。醸造長ですが、彼とモモちゃんとの共同によるところが大きくなるでしょう。というのも、阿久沢さんがここを去った後も、モモちゃんは残る予定なので。モモちゃんのビールは良くなってきています。早く独り立ちしたいようです。

タイヘイ:私たちが、シドニーでアウトサイダー・ブルーイングのタップルームに行けるのはいつ頃になりそうですか。

マーク:メルボルンに1つオープンさせた後ですね。オーストラリアで飲食する場所はメルボルンですよ。

タイヘイ:東京地方では、どこでマークのビールを飲むことができますか。

マーク:東京に定期的に卸しているお店はありませんが、ローテーションで出しているところはたくさんあります。最大顧客はCraft Beer MarketとPopeyeで、私たちの一番のおススメビールを2,3種類置いています。

アウトサイダー・ブルーイングを飲めるお店

販売情報

醸造所 アウトサイダー・ブルーイング
連絡先 マーク・メイジャー
メール thevault@live.com.au
ウェブサイト http://outsiderbrewing.jp/
Facebook https://www.facebook.com/OUTSIDERBREWING/

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